お知らせ

試作品の生産と事業供用日

2019.06.12|お知らせ
 償却固定資産の減価償却開始日(又は月)について、よく「事業の用に供した日」からといわれます。この「事業の用に供した日」とは、具体的にどのような日でしょうか?個々の案件によって異なる為、税務調査で問題となることがあります。特に工場等で、機械を設置して試作品を作る場合、どのタイミングで「事業の用に供した日」となるのか、その考え方を解説した記事をご紹介します。

 

 

 「事業の用に供した日」について,法令上,明確に示されたものはありませんが,国税庁のタックスアンサーでは,「減価償却資産を事業の用に供したか否かは,業種・業態・その資産の構成及び使用の状況を総合的に勘案して判断する」としています。これによると,「事業の用に供した日」とは,一般的には その減価償却資産のもつ属性に従って本来の目的のために使用を開始するに至った日 をいい,例えば,機械等を購入した場合,機械を工場内に搬入しただけでは事業の用に供したとはいえません。その機械を据え付け,試運転を完了し, 製品等の生産を開始した日 が「事業の用に供した日」となります。

 

 ところで,機械装置の導入にあたっては,検収目的の試運転を終了して正常に稼働することを確認した後,すぐには本格生産に入らず,まずは「試作品」を作るというケースがあります。この場合,「事業の用に供した日」(製品等の生産を開始した日)は,検収目的の試運転を終了して最初の「試作品」を生産した日でよいのか,本格生産を開始した日になるのか迷うところです。

 

 この点の判断は個別の事例によりますが,例えば,機械装置を導入する目的が,顧客からの仕様に沿った製品を生産することにあり,「試作品」を生産して,顧客から了解を得た上でなければ,本格生産に入れないというような場合,最初の「試作品」を生産した日でよいということになります。

 

 他方,「試作品」の生産であっても,それが機械装置の検収や調整を目的としたものであれば,「事業の用に供した」とは言えないと考えられるため留意しましょう。
(出典:2018年税務研究会『週刊税務通信NO.3507号』 P53

 

 

 会社は営利を目的として事業を営んでいます。そのことから、収入を得ることができる状態になったら、明らかに償却開始日になると思いますが、「試作品」の考え方は、十分に考慮して判断することが必要なようです。

 

※当ブログの内容は、税制の概要などの情報発信を目的としています。簡便性や分かりやすさを重視し、細かな適用要件などを省いている場合もあります。実際に申告等される際には、税理士または納税地の税務署にお問い合わせください。
2019.06.12|お知らせ