ふるさと納税と返礼品の時価
今回は、ふるさと納税の返礼品について、税務上、受け取った者はどのようにとらえるべきかについて、下記の記事をご紹介します。このような視点は、みなさんあまり考えていないと思います。しかし、実に興味深い内容です。
ふるさと納税の返礼品(経済的利益)は,税務上,一時所得に該当します。満期保険金を一時金として受け取るなど,他の一時所得も含めて特別控除額50万円を超えれば,所得税の確定申告が必要となります。
ふるさと納税の返礼品(経済的利益)の額については,安易に「寄附額の3割」とするのではなく,寄附先の自治体に確認するなどし,適正な時価により一時所得の計算・申告をすべきです。
所得税法上,収入とすべき金額には,金銭以外の経済的利益の額も含まれ,ふるさと納税の返戻品は,「法人(地方公共団体)からの贈与により取得する金品」として,その経済的利益の額を一時所得の総収入金額に算入することになります。
ここでいう経済的利益の額とは,「利益を享受する時における価額」と規定されており,つまりは“時価”となります。
一昨年4月に総務省が全国の自治体に対して行った返礼割合を3割以下とする旨の通知を根拠に,ふるさと納税の経済的利益の額を「寄附額の3割」と考える向きもありますが,全国の自治体が統一的に寄附額の3割としているわけではなく,寄附額の3割超の返礼品を採用している自治体も多くあります。
「寄附額の3割」も,ふるさと納税の経済的利益の額の目安の一つにはなるものの,やはり,寄附先の自治体に確認するほか,市場で出回っている商品(返礼品)の価格を参考にして,適正な経済的利益の額を計算すべきといえます。
なお,一時所得の計算上総収入金額から控除する「その収入を得るために支出した金額」について,ふるさと納税は,あくまで寄附であるため,控除すべき金額はないといえます。
(出典:2018年税務研究会『週刊税務通信NO.3533号』 P70
ふるさと納税の返礼品は、その時価で評価した金額の収入を一時所得であるとしています。ここで時価という概念が出てきますが、同じものがWebの通販サイトで掲示されている価格があり、実際に取引がなされている場合、この取引価格は時価といえると思います。このような時価を上記の記事でも指摘していますが、通常、ふるさと納税の返礼品の運送費は、受取り者は負担していませんが、この運送費を含めて一時所得の収入と考えるのかどうかは、言及していません。しかし、それも経済的利益と考えられるのではと思います。細かな点ですが、負担しない運送費も一時所得の一部を構成するのではないかと思われます。
※当ブログの内容は、税制の概要などの情報発信を目的としています。簡便性や分かりやすさを重視し、細かな適用要件などを省いている場合もあります。実際に申告等される際には、税理士または納税地の税務署にお問い合わせください。
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