お知らせ

小規模宅地等の特例について

2018.12.18|お知らせ
 今回は、相続税の小規模宅地等の特例について書かれた記事を紹介します。小規模宅地等の特例は、相続によっていままで住んでいた生活基盤の土地に課税されることで、その生活基盤がなくなってしまわないようにする為の特例です。この特例の中に、”家なき子”と呼ばれる相続人にもこの特例が適用される条件があります。例えば、配偶者も他の同居人もいない被相続人が、老人ホームに数年住んでいて亡くなった場合の、被相続人の住居があった土地を相続する場合に、そこに住んでいなかった相続人にこの特例が適用されます。しかしながら、この特例の条件を作り出し節税策として、本来の趣旨と違った形で適用されてきた為、改正がありました。その改正点について説明している記事を以下、抜粋してご紹介します。

 

 この特例のうち,被相続人の居住の用に供されていた宅地等(特定居住用宅地等)については,被相続人の配偶者はもちろん,被相続人と同居していた親族が被相続人の持ち家を相続や遺贈で取得すれば適用の対象となります。また,被相続人と同居していない親族が取得した場合でも,相続人がいわゆる“家なき子”の要件を満たせば対象となります。“家なき子”という呼称ではありますが,一定の要件を満たせば,孫等も該当します。また,相続人に持ち家がある場合でも,相続開始前3年以内にその持ち家を貸し出す等して相続人が住んだことがなければ,法律上の要件充足は問題ありません。
 
 しかし,この“3年制限”を利用して次のような節税策を講じる人も少なからずいらっしゃるようです。一人暮らしの父と持ち家がある子のケースで,子は特例を適用するため,兄弟に持ち家を売却し,子自身はその家に賃貸として住み続けました。4年後に父が他界し,“家なき子”の条件を満たす子は,軽い税負担で父の家を相続しました。
 
 このように,相続人が持ち家を売却すること等によって,特例が適用可能な状態を意図的に作り出す例があり、こうした動きは制度の本来の趣旨に沿わないとして,平成30年度税制改正大綱でより,相続開始時に居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者や,相続開始前3年以内に3親等内の親族等が所有する国内にある家屋に居住したことがある者は,特例の適用を認めないとの見直しが盛り込まれました。
(出典:2017年税務研究会『週間税務通信NO.3487号』 P53)

 

 

 今回の改正もそうですが、今まで大丈夫だったとしても、法の趣旨に反する節税策に規制がかかっていくことはよくあることです。「特例」というのは、改正等がありますので、その適用に注意することが必要です。

 

 

※当ブログの内容は、税制の概要などの情報発信を目的としています。簡便性や分かりやすさを重視し、細かな適用要件などを省いている場合もあります。実際に申告等される際には、税理士または納税地の税務署にお問い合わせください。
2018.12.18|お知らせ